月待ヶ池

TITLE: 月待ヶ池 Tsukimachigaike

YEAR: 2018
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018

仏教と民間信仰が習合した月待行事「二十三夜講」の供養塔が、何十年も使われていない農業用溜池の脇に建っている。川治地区の二十三夜講はいつしか信仰色が薄まり、塔の周りを囲んで行う子どもの ためのお祭りとなった。作家は存在する意味を失った溜池に船を浮かべ、月待のための池としてよみがえらせようと試みる。

月待ヶ池

月待ヶ池は、月を御神体として祀っている池です。浮橋の真ん中を渡ってお参りいただけます。

この池は、農業用貯水池として使われていましたが、別の水路ができたことで何十年もの間、なんの用途もないままこの場に佇んでいました。その間、カワエビやメダカ、トノサマガエルなど様々な生物が育まれていきました。

この池のすぐ傍に立派な二十三夜供養塔が建立されています。安永二年(一七七三年)に様々な人々の力添えで建立されたました。この塔は月待塔の一種で、江戸時代に全国的に流行した民間信仰である二十三夜講を記念して建てられました。二十三夜講は三夜待ちと呼ばれ、陰暦の二三日に行われる講中の人たちの集いのことです。深夜の一二時頃になると下弦の月が現れることから神秘的な月だと考えられており、この日に講中の人たちは食べ物を持ち寄って集まり、月が現れるのを待ちました。月が出ると集まった人たちは般若心経を唱えて解散したそうです。

十日町地域では昭和三〇年代には三夜待ちは途絶えていきましたが、現在この川治地区では毎年七月二三日に池の土手で小さなお祭を開いています。このように時代に合わせて集う形を変えつつも今も続く三夜様の祭を記念して、この池は月待ヶ池となりました。
月を映しながら、ただただゆっくり待って佇むことでカワエビやメダカ、トノサマガエルが育まれることが、この池の意味になるように。

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