TITLE:神話の続き Continuation of Myth
YEAR:
 2017
奥能登国際芸術祭2017

A project that was carried out on the coast of the Noto Peninsula where a lot of god legends are gathered since ancient times. I built a shrine from the straying waste of plastic that flowed from the Eurasian Continent.

環波神社について

環波神社は、平成二十九年建立の海と漂着物を信仰する神社です。
海境(水平線の向こう)自体が本殿であり、漂着廃棄物そのものが御神体です。
御神体は地域の子どもたちによって作られております。

神社の由緒

 昔々、人間たちがたくさんの廃棄物をつくった時代がありました。廃棄物は、元々人間が使うものとして作られたものでした。その時代は、まだ使えるものを捨てて、新しいものを作って売ることで世界は成り立っていました。そのために日々たくさんのものが生み出されることになりました。ほとんどの廃棄物は燃やしたり、埋めたりして処分していました。

 後に人間は、ものすごい力を持ったものを発見しました。それは、効率的に人間に電気を供給する燃料として使われました。しかし電気を作った後に出てくる廃棄物に近づくだけで人間たちは溶け出して消えてしまいました。

 そのような大きな力の廃棄物に出会った人間たちは、これまで海や山や川や疫病など、自分たちの力が到底及ばない自然を神様として崇めていたことを思い出しました。そして人間たちは廃棄物を神様と崇めるようになりました。人間たちは、電気を供給する役目を終えてもあまりある力を持つ廃棄物=神様を埋葬するために、ガラスの棺に納め、さらに土で周りを囲い、地の底まで埋めて供養することにしました。

 この国では廃棄物の神様が生まれるもっと前の大昔より、神様の住む常世の国は水平線の先にあるとされ、海の向こうから漂着するものは神様だと考えられていました。この珠州の地でも漂着物を神として祀ってる場所が数多く残っています。多くは大陸や朝鮮半島から流れ着いた人やものを御神体として祀り建立されました。

 その後あらゆる国々が海を越えて繋がる時代が訪れ、海の向こうに常世の国を意識することはなくなり、大量生産品の廃棄物がたくさん海岸に流れ着くようになりました。 人々は神様を忘れかけていましたが、廃棄物が再び神様と呼ばれるようになったことで、この神社が建立されることになりました。